先日、以下のブログでNanoKVMについて簡単に覚書を書きました。
今回、NanoKVMをNW機器操作用のコンソールサーバにする、という点についても動作確認ができましたので、その際に利用したモノなどについて記事にします。
サマリ
- NanoKVMはNW機器操作用のコンソールサーバとしても利用可能
- ただし、UARTの信号をRS232の信号に変換するための仕組みが必要。
- アマゾンでも2個セット1000円以下で購入可能 ●私が買ったもの●
用意するもの
必須のもの(これだけあれば1Port接続はOK)
- NanoKVM本体(Lite版/Full版どちらもSerial Terminalが2channelありそう)
- UART/Serial信号変換基盤
- 私はこれを買いましたが、類似の商品でも行けるのではないかと思います。
- NanoKVM付属のジャンパーワイヤーケーブル
- ちょっと長いので、短いケーブルのほうがお好きな方は別で手配。
- すごく簡単な電子工作にチャレンジする気持ち(プライスレス)
コンソールを2ポート分使いたい方
- 2個目のUART/Serial信号変換基盤 ※最初に複数個セットのものを買いましょう。
- VCC・GND分岐用の小型ブレッドボード
- こんなのでよいです。
- ブレッドボードに接続するためのオス-オスのジャンパーワイヤーケーブル
接続図
すごく簡単に書くと、こんな感じです。
回路図のレベルになると、変換基盤上でもう少し複雑な形になりますが、そこまでの情報は不要と思いますので省略します。
これはシリアル2Port分を作る例なのでVCC(電源)、GND(アース)をブレッドボードで分岐している絵になっていますが、シリアルが1Portで十分な場合には、Nano KVMの各ポートを直接変換基盤に接続すればOKです。
また、ジャンパの分岐ケーブル作成ができる人はブレッドボード無しでも平気だと思います。
ジャンパーピン使ってうまくできないか考え中…
私の作ったものの完成形(10/12時点)
ちょうど手元にあった、「手のひらネットワーク機器」のラックフレームがジャストサイズだったので、そこにラックマウントするような形でくみ上げました。
ひとまず、NanoKVMを使った、IP-KVM兼コンソールサーバ、完成です! pic.twitter.com/viNF2lHNQe
— tatematsu_san (@tk4_jj) 2024年10月12日
今のところブレッドボードが大きいので外部に出ていて、若干見栄えが悪いです。
明日に小型ブレッドボードが届くので、以下対応を追加で実施予定です。
- ブレッドボードのラック内設置
- VCC/GND用配線の整線
10/13のアップデート結果
データセンターのラックマウントをするときみたいに、割と真剣に配線を逃がしたり捕縛などを行いました。
捕縛の最終仕上げ。 pic.twitter.com/TqgndrMMNz
— tatematsu_san (@tk4_jj) 2024年10月13日
いったんこれで完成形です。
シリアルポートへの接続方法
以下のいずれかの方法で利用可能です。
各々の接続方法について、以下で簡単に解説します。
NanoKVMへWebコンソールで接続し、シリアル接続する
NanoKVMへブラウザで接続し、Terminalのメニューから「Serial Port Terminal」を選択します。
以下のように、どちらのシリアルポートに接続するか、転送レートをどうするか入力して接続します。
上記を実行すると、Webターミナル上で選択した内容に合わせたCLIがくみ上げられ、対象のシリアルポートへログインすることが可能です。
よっしゃ、NanoKVMのコンソールサーバ化、問題ないな pic.twitter.com/B9Y9JTyDRj
— tatematsu_san (@tk4_jj) 2024年10月11日
NanoKVMへSSHで接続しCLIでシリアル接続する
NanoKVMのIPアドレスに対し、SSHで接続します。初期ID/PASSはroot/rootです。
接続出来たら、上記Webコンソールでの接続で発行されているコマンドと同様のコマンドを入力すると、該当ポートにシリアル接続が可能です。
例として、Ciscoの機器(転送レート9600bps)にシリアルポート1で接続する場合のコマンドは以下の通りです。
picocom /dev/ttyS1 -b 9600
SSH経由でのtty1,tty2の同時接続も問題なし。
— tatematsu_san (@tk4_jj) 2024年10月12日
(左がTTY2のAruba、右がTTY1のCisco) pic.twitter.com/cf1ySfzjjM
シリアルポートからの切断方法
切断方法は、デフォルト設定では「Ctrl+A→Ctrl+Q」の特殊キー送信になります。
この辺りは、picocomというツールの初期設定のようで、設定変更もできそうでした。お好みでいじってみるとよいと思います。
Webコンソール経由の場合、ブラウザを閉じてしまえば自動で同じコマンドが出るのかな?とも思いますが、詳細不明です。
入れ物と方向の選択
今回、手のひらネットワーク機器のラックフレームを使って縦方向で組みましたが、シリアルポート用のケーブルの自重を支えられず、傾いてしまいます。
折角のラックなので立てたいところなのですが、現実的には横倒しで使うのがよさそうです。
問題は、筐体が軽すぎてコンソールケーブルの重さに耐えられないこと🥺 pic.twitter.com/DMc5bynx7K
— tatematsu_san (@tk4_jj) 2024年10月12日
よさげな入れ物を見つけた方は教えてください。
FAQなど
電子回路を学んだことないけど自分でも作れるの?
- 余裕です。ファミコンのカセットを刺す程度の作業です。
- 一応、注意点としてはGNDから先に接続するようにしましょう。
シリアルの文字コードはどうなるの?
シリアル操作時のログって取れるの?
- 本体側にそういう機能があるかは未確認です。どうしても必要ならSSH接続してターミナルツール側で取るようにすればよいと思います。
Z-MODEM使えるの?
- 未確認です。もう長いこと本体リカバリなどでZ-MODEMを使うシーンにも出会っていないので、確認する予定もありません。
- もし必要ならファイル送信もセットになると思うので、NanoKVM経由では向いていないと思います。実施する必要がある場合には、素直にPCから直接実施しましょう。
基盤とラックは何を使って接着してるの?
- 私が使ってるのは「鬼ピタ」という両面テープです。いろいろな用途で使えるのでお勧めです。
最後に
これで、NanoKVMが1台あるだけでPC・NW機器ともにリモートメンテナンスが容易にできるようになりました。
こんな便利なものが数千円で買える世の中になったことに感謝します。実質無料ですね。
自宅ラボをお持ちの方、本当にお勧めできるデバイスなので、ぜひ購入をご検討ください。